全体・表面硬化によって金属の改質・改善を実現
「石井熱錬」では、全体・表面硬化を目的とした熱処理のサービスをご提供しております。それぞれのお客様のご要望をうかがい、金属の特性に合わせたご提案を差し上げておりますので、「効果的な熱処理がかわからない」といった方でもお気軽にご相談ください。こちらのページでは、当社が行う熱処理のメニューをご紹介しています。
表面硬化
浸炭
主に低炭素鋼を加工する際に、表面層の硬化を目的として行われるのが浸炭です。炭素を添加し処理を行うことで耐摩耗性の向上に期待ができます。
ガス浸炭
浸炭性ガス雰囲気中で、低炭素鋼や低炭素合金鋼の表面層に炭素を増やし、焼入れして硬化させる熱処理法をガス浸炭と呼びます。素材の耐摩耗性が向上すると共に、耐衝撃性・耐疲労強度の強化にもつながるため、自動車部品をはじめさまざまな機械部品に応用されています。ガス浸炭のメリットは炭素濃度の調整が可能であり、自動化が容易であることです。そのため、多量生産に使われることが多い傾向にあります。
炉内を真空にした状態で行う浸炭処理の方法です。ガス浸炭に比べ、品質の向上や手間・コストカット、環境への貢献といった多くのメリットがあります。
窒化
窒化とは広い意味では金属に窒素を含ませる全行程を指しますが、狭義的には鉄鋼材料、チタン合金の表面層の硬化を目的に行われる熱処理のことです。焼入れに比べ変形が少なく、高温下でも軟化しにくいという特徴を持ちます。
マルチ窒化(ナイト)
ガス窒化に比べて短時間で処理ができる窒化処理加工に、「塩浴窒化」というものがあります。しかしこの手法は塩浴剤が劇毒物であることや、製品の処理後のスラッジに多量のシアンが含まれていることなどが問題視され、社会問題にまで発展しました。そのため、シアンを含まず、高性能であることを目指し研究開発されたのがマルチ窒化(ナイト)処理です。無公害液体窒化であることはもちろん、従来の塩浴窒化と比較して高性能であることが特徴のこの処理法は、優れた耐摩耗性、耐焼付性、耐かじり性を得られ、さらに内部層は高い疲労強度を実現します。
マルチナイトプロセス
マルチナイトプロセスとは、通常の窒化処理+硫化組織(硫化鉄)を表面に生成する熱処理のことを言います。
通常の窒化処理の場合、表面から窒素を浸入・拡散させ表面硬化することを目的とし、一般的な熱処理より低い温度域で窒化鉄を生成することができ、また低温域で処理することで熱に関する歪みを抑制することができる点が、代表特性でした。
マルチナイトプロセスでは、この窒化鉄に加え最表面に硫化鉄が生成されます。この硫化鉄が固形潤滑剤の役割を果たし、初期摩耗や離型性に特出した性能を発揮します。また熱による硬度軟化に防止にとても有効で、高熱部の耐摩耗製品に対してその能力を発揮します。さらに特許でもありますXガスを使用することで、従来窒化処理が困難であったオーステナイト系ステンレスに対しても、容易に窒化処理が可能になりました。
SUS浸炭
SUSの浸炭とは文字通りSUSを浸炭することです。写真はステンレスの代名詞でもある、SUS304を浸炭したもので表面硬度はHV800程度あります。研究段階のこの技術は、お客様とタイアップし新たな技術への躍進する分野の一つだと考え、現在様々なお客様や研究者様とお話しさせて頂いてる謂わば発展途上の技術であります。
浸硫
浸硫とは、鉄鋼製品に窒素を主体とした炭素、硫黄を拡散させ、硫化鉄の表面層を生成させる処理のことです。浸 硫窒化の場合にはこれに窒化処理が加わることで、高い耐摩耗性や潤滑性、耐溶着性を得ることができます。処理媒体には液体が用いられ、加熱もしくは電解によって実施されます。なお、浸硫には塩浴法とガス法の2種類があり、一般的に浸硫窒化とは前者を指すことが多いです(ガス法の場合にはガス浸硫窒化と言います)。
全体硬化
焼入れ
金属を高温状態から急冷し、全体の硬度を上げて耐摩耗性や引張り強さ、疲労強度の改善を行う熱処理のことを焼入れと言います。なお一般的に焼入れを行う金属は鋼であることが多いです。
無酸化焼入れ
鋼は大気中で高温に加熱されると、酸化被膜の付着や表面脱炭といった変質が起こってしまいます。これを防止するために行われるのが無酸化焼入れです。無酸化による熱処理は焼入れムラが少なく安定した硬度が得られるため、工具鋼といった高級鋼の処理に多く使われています。なお、もっとも一般的な無酸化焼入れの種類として「真空焼入れ」というものがあります。これはその名の通り、真空雰囲気の中で熱処理を行う方法ですが、完全な真空は高温時に鋼中から合金元素が抜けてしまう現象が起こるため、「低・中真空」もしくは微量の窒素ガスを使った方法が主流となっています。
調質
いったん焼入れした鋼を再度高温で焼き戻しを行い、硬さと靱性のバランス調整を目指す処理法が調質です。硬度の高さや、耐摩耗性の大きさを要求される工具鋼や金型に多く利用されており、それぞれの特性などに応じて温度を調整しながら硬度が下がらないように操作していきます。なお、靱性を重視する場合には高温焼き戻し、硬度を重視する場合には低温焼戻しが利用されます。
焼準(焼きならし)
鉄鋼製品の組織を常態化(正常に戻すこと)することを目的とし行われるのが焼準(焼きならし)です。種類としては「普通」「二段」「等温」「二重」といったものがあります。手順としては、まずは鋼を高温に加熱し、その後冷却(一般的には空冷)を行って組織の結晶を均一微細化させます。これにより、機械的性質が向上するため被削性の向上も期待ができ、ひずみの原因となる残留応力を取り除くことも可能です。なお、高級鋼の焼入れ前処理として行われることもあります。
焼鈍(焼きなまし)
素材の硬化を目的に行われる焼入れに対し、焼鈍(焼きなまし)は素材の軟化を目指して行われる熱処理で、加工後は冷間加工や切削加工時の性能向上が期待できます。種類には「歪取」「低温」「完全」があり、目的に応じて使い分けが行われます。もっとも多く利用される完全焼鈍は、鋼を可能な限り軟らかくすることができ、残留応力を取り除くほか、組織の結晶を常態化するのに効果的です。なお、焼き戻しと似た作業ではありますが、析出などの効果を目的としていない点が異なります。
全加工
お客様のご要望に応じて、商品開発などをゼロベースから承る完全オーダーです。当社が長年のキャリアで培った熱処理に関する技術力・ノウハウを駆使し、どのようなものでも根気よくじっくりとお付き合いいたします。
その他
・高周波焼入・真空焼入・コーティング など